電動キックボードは「恥」だが役に立つ

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2023年7月、電動キックボードが日本の都市交通に登場し、利便性と柔軟性を提供する一方、急増した交通違反や事故が社会問題化している。警察庁のデータによると、新制度導入後、違反件数は2万件を超え、飲酒運転も17.2%に達するなど、制度設計の課題が浮き彫りになっている。自由と安全のバランスをどう取るべきかが今、問われている。

「おもちゃ」感覚が無法運転

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 制度改正後の急速な普及の裏で何が起きているのか。

 前述の警察庁の統計が示すとおり、電動キックボードの交通違反は通行区分違反が約58%。つまり、歩道を走ってはいけない場所で平然と走っている、あるいは逆走しているというケースが多発している。

 さらに、飲酒運転が17.2%という異常な割合で発生している。これは、自転車や原付きバイクの飲酒運転割合(1%前後)と比較しても突出して高い。この数字の裏にあるのは、この乗り物は

「オモチャの延長線上」

である、という感覚を持っているユーザーが一定数存在しているという事実だ。NHK「クローズアップ現代」が報じたとおり、ルールを守る意識が根本的に欠如している層が、新しいモビリティを中心的に利用している現状がある。ある意味で、制度設計の段階から想定された想定外である。

 こうした無法状態を前に、電動キックボードを都市インフラとして定着させることが可能か、という問いは非常に重い。市民社会の成熟度と制度の柔軟性がともに問われるなか、今の日本の都市はそのバランスをうまく保てているとはいいがたい。

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