電動キックボードは「恥」だが役に立つ

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2023年7月、電動キックボードが日本の都市交通に登場し、利便性と柔軟性を提供する一方、急増した交通違反や事故が社会問題化している。警察庁のデータによると、新制度導入後、違反件数は2万件を超え、飲酒運転も17.2%に達するなど、制度設計の課題が浮き彫りになっている。自由と安全のバランスをどう取るべきかが今、問われている。

制度導入から事故急増

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 2023年7月、日本の都市空間で小さな革命が始まった。特定小型原動機付自転車という新しい法的枠組みが導入され、一定の基準を満たす電動キックボードが原付の枠組みから外れた。

 これにより、16歳以上なら免許が不要となり、乗車用ヘルメットの着用を義務付けられた。さらに、保安基準を満たし、ナンバープレートを取得し、自賠責保険に加入すれば、一定の条件で公道を走行できるようになった。しかし、走行場所や方法には制限がある。

 この新制度は、都市交通の柔軟性や利便性を高めることを目指していた。しかし、すでにその影の側面が顕在化している。警察庁が2024年3月に公表したデータによると、新制度導入後の電動キックボードに関する交通違反は2万5156件、交通事故は219件に達し、事故件数は導入前年の5倍以上に急増した。特に注目すべきは、事故のうち17.2%が飲酒運転によるものだったことだ。

 つまり、便利さの裏側で「歩道の暴走者たち」が市民社会のリスクを急速に高めている現実が浮き彫りになっている。

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