新宿ミロード「3月閉館」の真相? 超高層ビル計画だけではない「地下の問題」をご存じか
40年以上にわたり新宿の象徴的な商業施設だった「新宿ミロード」が2025年3月16日に閉館した。その背後には、新宿駅周辺の大規模再開発がある。2030年には高さ260mの超高層ビルが誕生するが、真の課題は地下にある。物流の停滞を招く「路上荷捌き問題」や複雑な乗換動線が駅の機能を圧迫し、安全面でも深刻な懸念を生んでいる。新宿再開発の核心は、この「見えない課題」にこそある。
西口地下広場の「荷捌き問題」

新宿駅周辺の再開発に関する有識者会議「新宿の拠点再整備検討委員会」が新宿区に設置されている。この委員会は2017年から現在まで計15回の会議を開いてきた。その第1回、2017年6月28日の会議で使われた資料に注目してみよう。資料の19ページには、
「【駐車場】荷捌き」
という小見出しがあり、新宿駅西口と東口での荷捌き問題が取り上げられている。荷捌(さば)きとは、商品や荷物の受け取りや積み降ろし作業を指す。特に商業施設や交通拠点で行われることが多い。
新宿駅西口地下広場では、8~11時のピーク時間帯に81台が路上荷捌きを行っており、平均駐車時間は44分だった。そのうち60%が普通貨物車で、この状況が広場内の
・車両混雑
・車道占有
を引き起こしていた。
同様の問題は地上でも発生していた。新宿駅東口広場では10~13時の間に87台が路上荷捌きを行い、その54%が普通貨物車だった。平均駐車時間は22分で、ドライバーにとって他に荷捌きの場所がないという事情がある。車高の高い貨物車に対応できる屋内駐車場は限られているため、これが現実的な解決策となっていた。