日本の「高速道路」はなぜすぐ止まるのか? 21年「1700台立ち往生」の悪夢ふたたび? 利用者8割「不満」 予防的通行止めの裏側、海外とどう違う?
台風や大雪による予防的通行止めは、高速道路の安全を守るための重要な対策だが、実施タイミングや効果に疑問の声も上がっている。2025年の例では、通行止めが早すぎたとの不満があり、対策の精度向上が求められている。
大雪・台風対策の限界

日本は、世界的に見てもさまざまな気象現象が発生する国だ。そのなかでも、特に大きな被害をもたらしやすいのが、夏の台風と冬の大雪だ。高速道路でも、台風や大雪の影響は大きい。規制や通行止めが発生することもあるが、それでも交通被害が頻繁に発生している。
近年では、2021年1月に北陸地方で記録的な大雪が降り、富山県の東海北陸自動車道や福井県の北陸自動車道などで、1700台以上の車が10時間以上立ち往生する事態が発生した。こうした事態に対処するため、国土交通省や高速道路を管理するNEXCOは、気象庁から台風や大雪の予報が出ると、予防的措置として早めに高速道路を通行止めにすることがある。これにより、事故や立ち往生のリスクを減らすことができる。
しかし、予報が外れて台風や大雪の規模が思ったよりも小さかった場合、
「予防的通行止めが本当に必要だったのか」
疑問が残ることもある。実際、2025年に入ってから、首都高や東名高速道路で2回、予防的通行止めが実施された。いずれも、過去よりも早い時間帯から通行止めが始まり、通勤や通学に影響が出た。
このような状況から、高速道路の利用者からは予防的通行止めに対する不満の声が上がっている。しかし、大規模な事故や立ち往生を防ぐためには、予防的通行止めも必要だという現実もある。重要なのは、そのバランスをどのように取るかだ。今回は、台風や大雪による予防的通行止めの是非について考えていく。