「北陸新幹線 = 無駄な公共事業」 20年前の批判は一体何だったのか? 未来予測の誤算、開業後の経済効果に衝撃! 地方再生を阻む「思考停止」とは
北陸新幹線は「無駄な公共事業」だったのか? 2000年頃の識者の悲観論を覆し、開業後に沿線人口を激増させた「起爆剤」の真実。1980年代から続く新幹線批判の根底には、未来予測の限界と地方蔑視があった。富山、金沢の変貌は、新幹線がもたらす地域創生の可能性を示す。2024年、新幹線建設は「負債」から「資産」へと転換する。
北陸新幹線延伸論争とインフラ投資の課題

2025年3月22日、岡山市でNPO法人「公共の交通ラクダ(RACDA)」の総会が開かれた。RACDAは1995(平成7)年に設立。路面電車をはじめ、使いやすい公共交通システムの実現を目指し。行政や交通事業者へ提言を行ってきた。会員には全国の交通事業者、行政関係者、研究者が名を連ねる。
2024年11月には「都市交通決起集会」の開催にも協力。この集会には全国から関係者が集まり、議論を交える場となった。こうした取り組みを通じて、RACDAは公共交通や都市計画の情報交換において、重要な役割を果たす団体といえる。
今回の総会は、岡山市内を走る岡山電気軌道の岡山駅前延伸工事が実現したタイミングでの開催となった。後半の討議には、東京だけでなく北海道や熊本県から識者が参加。活発な議論が展開された。
討議のなかでは公共交通に関するさまざまな話題が取り上げられたが、筆者(昼間たかし、ルポライター)が特に興味を持ったのは、北陸新幹線の延伸に関する議論であった。そこでは、2000年頃には「無用の長物」「無駄な公共事業」といった批判が多く見られたというエピソードが紹介された。
四半世紀が経過したが、整備新幹線に対する批判は今も続く。敦賀以西の延伸ルートは決まらず、西九州新幹線の佐賀県ルートも合意に至っていない。四国新幹線は計画段階にとどまり、北海道新幹線は札幌延伸に向けて工事が進むものの、赤字運営がJR北海道の経営課題と結びつけられ、
厳しい目が向けられている。
なぜ、地域の発展に寄与するはずの新幹線は批判され続けるのか。本稿では、かつての反対論が現実とどう乖離していたのかを検証し、整備新幹線の本質的な価値を再評価する。