“抜け道”発覚で「物流改革」破綻!? ネットで広まる「実運送体制管理簿」回避術! 国交省のお粗末設計、多重下請構造の闇ふたたび?
今春から作成が義務化された実運送体制管理簿には、義務を回避する抜け道が存在していた。政府は本気で多重下請構造を解消するつもりがあるのか。厳しく問いたい。
実運送体制管理簿が形骸化

最近、X(旧ツイッター)で「実運送体制管理簿の作成義務を回避する裏技がある」と話題になっている。詳細は後述するが、簡単にいえば、下請けの運送会社との契約書に少し工夫を加えるだけで、実運送体制管理簿の作成を避けられる――という抜け道だ。
このうわさを聞いたとき、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は
「何かの間違いだろう」
と思った。正直にいえば「間違いであってほしい」とも願った。貨物自動車運送事業法の改正でいよいよ物流革新が本格始動するというタイミングだ。その重要な制度のひとつである管理簿の作成義務が形骸化(本来の意味や機能を失い、形だけのものになること)するのは、不愉快だった。
そこで、自ら国土交通省に問い合わせた。その結果、抜け道が実在することが判明したのだ。XなどのSNSでは、次のような声が上がっている。
「国は何をしたいのか」
「だから大手元請事業者は、実運送体制管理簿作成に取り組んでいなかったのか」
「結局、政府は本気で物流業界を良くしようとは考えていない」
この手法は、すべての下請け契約に適用できるわけではない。しかし、適用できないケースのほうが少ない。そのため、実運送体制管理簿を骨抜きにする抜け道が発見されたといえるだろう。