「周りは外国人ばかり」 京都観光から「日本人客」が逃げ出した? 北野天満宮で42%減という衝撃! 分散の成功か、それとも“京都離れ”加速なのか?

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昨秋、訪日外国人観光客で混雑する京都市で、日本人客の動向に変化があった。有名観光地では減少し、周辺部では増加。これは京都市が推進する分散観光の効果なのか。それとも、日本人の“京都離れ”が進んでいるのか。

増える訪日客と減る日本人

金閣寺(画像:写真AC)
金閣寺(画像:写真AC)

 訪日外国人観光客が殺到する京都市で2024年秋、日本人客が有名観光地で減り、周辺部で増えたことがわかった。京都市が勧める分散観光の効果か、日本人の“京都離れ”が進んだのか。通勤ラッシュ並みに混雑したJR嵯峨野線の列車が嵯峨嵐山駅(京都市右京区)に到着する。乗客が吐き出されると、ホームが見る間に人で埋まった。桜の満開時期にはまだ早い3月下旬の平日、午前中から訪日客が大挙して嵐山へ向かう。訪日客の数に圧倒され、日本人客の姿は目立たない。桂川沿いのコーヒースタンドは50人を超す訪日客が入店待ちの列。

 警備員が列の整理に走り回るが、次から次へと訪日客がやってきて列は長くなる一方だ。メインストリートの長辻通はバスやマイカー、人力車がひっきりなしに通るなか、車道にはみ出して通行する訪日客もいた。

「桜の時期はまだやのに、訪日客が増えている」と長辻通の売店従業員。東京都世田谷区から来た60代の夫婦は

「周りは外国の方ばかり。桜が満開になる前なら、もう少し混雑してないと思ったのに」

と目を丸くしていた。

有名観光地で日本人客が15%減少

訪日客でホームが埋まった今春のJR嵯峨嵐山駅(画像:高田泰)
訪日客でホームが埋まった今春のJR嵯峨嵐山駅(画像:高田泰)

 訪日客ラッシュで京都市内の有名観光地は混雑が常態化しているが、異変も起きている。京都市が2024年11月1日~12月15日に市内の観光地を訪ねた人の数をKDDIやスマートフォンアプリの位置情報データから集計し、2023年11月3日~12月17日と比べたところ、日本人客が有名観光地で減少し、周辺部で増えていたことだ。

 京都市によると、市内の有名観光地では日本人客が北野天満宮(上京区)で42%、伏見稲荷大社(伏見区)で23%、清水五条と祇園の花見小路(ともに東山区)、金閣寺(北区)で各19%、錦市場(中京区)で16%、嵐山の渡月橋(右京区)で11%減った。逆に訪日客は24~46%増えている。

 日本人客が増えたのは、京都市が有名観光地の混雑緩和を目指して推奨している周辺部。京北(右京区)で59%、伏見稲荷大社以外の伏見(伏見区)で29%、山科(山科区)で25%、西京(西京区)で23%、高雄(右京区)で10%伸びている。

 この調査はあくまで観光地ごとの人出に焦点を当てたもので、京都市全体の観光客数を推計したものではないが、京都市は有名観光地全体で日本人客が15%程度減り、訪日客が概ね30%増える一方、周辺部で日本人客が20%ほど増えたと分析している。

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