「船 = 地震に強い」は本当か? 東日本大震災から14年! 港湾の危険と津波からの生還術を考える
「船は地震に強い」とよくいわれるが、それは本当なのか。東日本大震災では約7500隻の漁船が被災した一方、沖合の船は被害を免れた例も多い。地震発生時、船舶はどのようなリスクにさらされ、どのような対応が求められるのか。津波や港湾施設の被害、座礁リスクなど、船舶特有の課題に焦点を当て、海上安全対策の在り方を考える。
地震発生時の船上での対応策

地震が発生した際の基本的な行動は、まず冷静に状況を把握することが重要である。船内では地震の揺れをほとんど感じない場合があるため、陸上からの情報に注意を払い、速やかに津波警報を確認する必要がある。
次に、津波の影響を受けにくい沖合へ速やかに退避することが求められる。できるだけ水深の深い地点へ移動することで、津波による被害を最小限に抑えられる可能性が高い。
地震後に港へ戻る際は、港湾施設の被害状況を十分に確認する必要がある。岸壁が損傷している場合や、液状化によって地盤が不安定になっている可能性もある。さらに、係留索が切れていたり、燃料供給設備が損壊していることも考えられるため、慎重な判断と行動が求められる。
東日本大震災では、地震発生時に港内にいた大型船舶のうち半数以上が港外へ退避しており、その約9割が被災を免れたと報告されている。一方、港内にとどまり、係船を強化したり、港内水域で投錨した船舶も存在したが、そのうち半数は被災を免れたものの、残りの船舶は漂流や大きな損傷を受ける結果となった。特に、自力航行ができなくなった船も少なくなく、港湾内にとどまることのリスクの大きさが浮き彫りになった。
船は地震の揺れには強いが、津波や港湾施設の被害には十分な警戒が必要である。特に、浅瀬や港湾内では津波の影響を受けやすく、迅速に沖合へ避難することが最善の対応となる。地震はいつ発生するか予測ができず、対応の遅れが致命的な被害につながる可能性がある。過去の震災から得た教訓を風化させず、船に乗る際は地震発生時の対応策を事前に確認し、安全な航海を心がけることが重要である。