「船 = 地震に強い」は本当か? 東日本大震災から14年! 港湾の危険と津波からの生還術を考える

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「船は地震に強い」とよくいわれるが、それは本当なのか。東日本大震災では約7500隻の漁船が被災した一方、沖合の船は被害を免れた例も多い。地震発生時、船舶はどのようなリスクにさらされ、どのような対応が求められるのか。津波や港湾施設の被害、座礁リスクなど、船舶特有の課題に焦点を当て、海上安全対策の在り方を考える。

津波・液状化・座礁、船を襲う三重苦

震災被害のイメージ(画像:写真AC)
震災被害のイメージ(画像:写真AC)

 しかし、船が海に浮いているからといって、必ずしも地震の被害を免れるとは限らない。特に港湾や浅瀬に停泊している場合、さまざまなリスクが生じる。

 ひとつめのリスクは、港湾施設の倒壊や津波による被害だ。地震によって岸壁や桟橋が損壊すると、係留中の船が衝突や破損の危険にさらされる。また、津波によって船が流されるリスクもある。

 ふたつめは、液状化現象による影響だ。港湾周辺では地震の揺れによって液状化現象が発生しやすい。液状化とは、地下水を多く含んだ砂質地盤が地震による揺れを受けることで、泥水のような状態になる現象を指す。液状化が発生すると、港湾施設の地盤が不安定になり、荷役作業や船の出入りに支障をきたす恐れがある。

 三つめは、座礁のリスクだ。浅瀬にいる場合、地震の影響で海底が隆起すると、水深が浅くなり船が座礁する可能性がある。仮に出航しようとしても、航行不能になるリスクがある。

 このように、船は陸上に比べて地震の直接的な被害を受けにくいといわれる一方で、港湾や浅瀬では深刻な被害を受ける可能性がある。地震多発地域で船を運航・管理する場合、これらのリスクを十分に認識し、事前に対策を講じることが求められる。

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