駅前再開発で消える「札幌の記憶」――文学が記録した風景はなぜ貴重なのか? 新幹線と都市再編の光と影とは【連載】移動と文化の交差点(11)
札幌の急成長とともに変わりゆく街並みは、文学作品に色濃く刻まれている。都市の発展により失われた風景をデジタル技術で再現し、観光資源として再生する試みが注目されている。過去と未来を繋ぐこのアプローチは、次世代への新たな価値を創出する可能性を秘めている。
札幌の変貌と都市の記憶

札幌駅の新幹線用高架工事が進んでいる。
開業は当初の予定より遅れているものの、札幌への延伸が現実味を帯びてきた。札幌駅南口の再開発については規模縮小の話もあるが、少しずつ動き始めている。
都市の成長は経済発展の象徴である一方、過去の風景が失われることは避けられない。かつて札幌には西5丁目陸橋をはじめとする独自の景観が広がり、文学作品にも描かれてきた。
本稿では、札幌の都市変遷を過去のコンテンツと結びつけ、コンテンツツーリズムの視点からその可能性を探る。