「鉄道オタク」はなぜ攻撃的なのか? SNSで暴走する“ネット弁慶”たちの正体! 美しき「鉄道文化」をかき乱す承認欲求とは

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鉄道やバス、ミリタリー分野における「オタク文化」は、深い知識と情熱を生み出す一方で、批判的な議論を引き起こしやすい現代のネット環境では問題となっている。しかし、熱心なファン同士が協力し、新たなコミュニティを形成する事例も増加している。知識の共有を通じて、モビリティ業界における健全な議論がどのように生まれるのかが重要な課題となっている。

鉄道知識の共有文化

 実際のところ、筆者は過激な言動を繰り返す鉄道オタクに実際に出会ったことはほとんどない。むしろ、筆者が知る鉄道に詳しい人々は、その知識を惜しみなく共有してくれることが多い。

 例えば、当媒体にも寄稿している歴史学者の嶋理人(りひと)氏がその一例だ。長年の友人である彼は、SNS上で一部の過激なオタクから敵視されることもあるが、本人はそれをあまり気にしない。彼は

・豊富な知識
・実証主義(歴史学の基本!)

に基づいて、わかりやすい解説をしてくれる。例えば、熊本駅がなぜ市街地から離れているのかを調査した際には、貴重な資料を提供し、わかりやすく説明してくれた。

 同じように印象的だったのが「田切ネットワーク」のメンバーたちだ。長野県のJR飯田線田切駅(飯島町)には、「アニメ聖地巡礼発祥の地」という石碑が立っている。この石碑は、1991年に発売されたマンガ『究極超人あ~る』のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)がきっかけとなり、2018年に有志の手によって建立されたものだ。

 このアニメでは、主人公たちが飯田線全駅の駅スタンプを集めながら、最終日18時までにゴールの伊那市駅を目指す。途中、田切駅で下車した彼らは、自転車で伊那市駅を高遠経由で目指すことになる。このシーンを見たアニメファンが田切駅を訪れるようになり、もともと鉄道オタクにとっては名所でもあったこの駅で、アニメオタクと鉄道オタクによる「田切ネットワーク」が生まれた。

 2012(平成24)年には伊那市駅開業100周年の企画として、伊那市役所自転車部が田切ネットワークの協力を得て、アニメのシーンを再現するイベントが行われた。田切駅から伊那市駅までを1時間で走るという過酷な条件にもかかわらず、100人以上が参加し、その後も毎年恒例の行事として続けられている。筆者も最初からこの活動に参加し、田切ネットワークのメンバーと長い交流を続け、駅清掃にも何度か参加している。

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