「鉄道オタク」はなぜ攻撃的なのか? SNSで暴走する“ネット弁慶”たちの正体! 美しき「鉄道文化」をかき乱す承認欲求とは

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鉄道やバス、ミリタリー分野における「オタク文化」は、深い知識と情熱を生み出す一方で、批判的な議論を引き起こしやすい現代のネット環境では問題となっている。しかし、熱心なファン同士が協力し、新たなコミュニティを形成する事例も増加している。知識の共有を通じて、モビリティ業界における健全な議論がどのように生まれるのかが重要な課題となっている。

進化する鉄道オタク文化

鉄道(画像:写真AC)
鉄道(画像:写真AC)

 知識は本来、社会をよりよくするために活用されるべきものだといえるだろう。最後に、最近の経験を通じて、その好例を挙げたい。2024年11月、岡山市で開催された「都市交通決起集会」に参加する機会があった。この集会では、熊本都市圏におけるTSMC進出にともなう渋滞問題など、交通に関するさまざまな課題について交通事業者、自治体職員、研究者たちが活発に議論を交わしていた。参加者は、電車やバスに対する深い愛情と知識を持ち、それを職業として昇華させた人々であり、まさに専門的な知識を持つ人たちが集まった場であった。

 特に印象に残ったのは、インターネットで見かけるような攻撃的な議論が一切なかったことだ。各自が持っている専門的な知識は、より良い公共交通を実現するための共有財産として活用され、知識は他者を排除するためではなく、共に課題を解決するために使われていた。このような姿勢こそが、知識の理想的な使い方であると感じた。

 集会で再会したのは、以前からの知人である何●(王へんに力。読み:かろく)氏だった。彼は大学時代に友人と「中国鉄道時刻研究会」を結成し、その後も中国での紙版の時刻表発行が終わった後、自分たちで編集・刊行を続けている(年2回発行、最新号は2024年秋冬号)。また、コンサルタント企業で公共交通の計画立案を手がけ、大学でも教鞭を執っている。

 何●氏の姿勢は、知識を理想的に活用する方法を示している。彼は深い知識を持ちながら、それを自己満足に留まらせることなく、社会に還元している。対照的に、ネット上で攻撃的な言動を繰り返す人々も、確かに知識を持っているかもしれない。しかし、その知識を他者を攻撃するために使うことだけに専念しているのであれば、それは知識の本来の価値を損ねてしまうことになりかねない。

 知識は本来、社会をよりよくするための共有財産であり、その価値を高めるためには攻撃的な言動ではなく、社会貢献につながる形で使われるべきだと考える。その意味では、知識を無駄にし、対立を生むような行動は避けるべきだろう。

「そもそも、そんな行動をする人はこんな長い文章を最後まできちんと読まないだろう」

というツッコミは無用である。

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