「鉄道オタク」はなぜ攻撃的なのか? SNSで暴走する“ネット弁慶”たちの正体! 美しき「鉄道文化」をかき乱す承認欲求とは
鉄道やバス、ミリタリー分野における「オタク文化」は、深い知識と情熱を生み出す一方で、批判的な議論を引き起こしやすい現代のネット環境では問題となっている。しかし、熱心なファン同士が協力し、新たなコミュニティを形成する事例も増加している。知識の共有を通じて、モビリティ業界における健全な議論がどのように生まれるのかが重要な課題となっている。
SNSでの攻撃性拡大、知識の道具化

職業や年齢が異なる彼らに共通しているのは、知識を持っていることへの誇りと、それを他の人と共有することへの喜びだ。初心者に対しても非常に親切で、「にわか」と呼ばれる人々が増えることをむしろ歓迎している。そのため、ネット上でよく見かける「にわか」批判や「誤った情報だ」と過敏に反応する人々を見て、筆者は不思議に感じることがある。彼らはいったいどこで、どのように知識を得たのだろうか。自分たちもかつては
「初心者」
だったはずなのに。なぜ、彼らはここまで攻撃的になってしまったのだろうか。
その背景には、知識を通じた承認欲求の問題があるのではないかと考えられる。ネット上で「自分が一番知っている」という優越感を示し、限られたコミュニティでの称賛を得ることが目的となっているようだ。特にSNSの普及により、この傾向はより顕著になっている。
「いいね」やリポストといった数字で評価が可視化され、過激な言動が注目を集めやすくなる。そして、その「評価」を求めるあまり、建設的な対話が置き去りにされ、知識は他者を貶めるための道具に変わってしまう。
SNSでの攻撃性は、単なる罵倒で終わらないことも多い。自分が精通している分野のニュースや投稿を見つけると、しばしばとげのある言葉を投げかけられる。筆者もそのような経験をしたことがある。鉄道行政に関する記事を書いた際、ある読者が執拗に攻撃的なコメントを繰り返していた。特に気にも留めていなかったが、ある日、知人の鉄道オタクと会った際に
「あのアカウントの人は鉄道会社の現業職の方ですよ」
と教えられた。