「地方暮らしはクルマがないと無理」は単なる甘え? 本当? いまや75歳以上の高齢者「約2割」時代…地方の交通インフラ崩壊の危機とは
地方での生活におけるクルマの不可欠さが再認識されている。高齢化が進むなか、公共交通では代替できない実情が浮き彫りに。福岡や秋田の事例をもとに、クルマ依存が進む現状とそれが生む課題を検証する。
郊外型商業施設とスプロール化の進展
日本の都市構造がクルマ中心に進化した背景には、高度経済成長期における急速な普及がある。
クルマは移動の自由を大幅に拡大し、かつてない便利さを人々にもたらした。実際、一般家庭の乗用車普及率は1970(昭和45)年に22.1%だったが、1981年には58.5%にまで増加した。この間、クルマの走行性能が飛躍的に向上し、道路インフラも全国で整備され、人々はより遠く、より速く移動できるようになった。
この利便性の高さから、都市計画も徐々にクルマ利用を前提に進められるようになった。その結果、東京や大阪といった大都市圏を除けば、日本のほとんどの地域はクルマなしでは生活が難しい都市構造に変わっていった。
このクルマ中心の都市構造は、特異な特徴を生み出した。1990年代以降、郊外型のショッピングモールが急増し、広大な駐車場を備えた「ワンストップショッピング」型の施設が主流となった。また、市町村合併による行政区域の拡大とともに、病院や図書館、市役所といった公共施設は広範囲に分散配置されるようになった。特に医療機関に関しては、高度医療を提供する病院が郊外に立地するケースが増加した。
さらに、郊外の土地が安価であることを背景に住宅地の開発が進み、スプロール化が進行した結果、通勤や通学にかかる距離が長くなり、既存の公共交通が対応できないエリアが拡大した。