自動車エンジンの点火プラグ大手が、突然「エビ養殖」を始めちゃったワケ

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日本特殊陶業は、ガソリンエンジン部品製造で培ったセンサー技術を活かし、エビの陸上養殖に進出。電動化が進む自動車業界の変化に対応し、事業の多角化を図る挑戦が注目される。

既存技術が変える養殖業

スパークプラグのイメージ(画像:写真AC)
スパークプラグのイメージ(画像:写真AC)

 日本特殊陶業(名古屋市)は、エンジン部品の生産を主な事業とする企業だが、全く異なる業種のエビの陸上養殖を行う新会社を設立した。

 同社はエンジンの中核部品を多数生産しており、特にスパークプラグでは世界シェアトップを誇る。スパークプラグはガソリンエンジンの点火に欠かせない部品であり、高性能なスパークプラグが同社の代名詞となっている。

 さらに、エンジンの排気ガスを計測する排気ガスセンサーや温度センサー、ノッキングセンサーなども製造しており、化学物質やエンジンの状態を瞬時に把握する技術を持っている。一見するとエビの養殖とは無関係な技術に思えるが、日本特殊陶業はこのセンサー技術を活かし、水質管理システムを開発して事業を展開している。

 エビの養殖には、沿岸近くや湾内で行う方法のほか、陸上養殖という手法がある。これは海から離れた場所にいけすを設けて養殖する方法で、場所を選ばず、海洋汚染の影響を受けないというメリットがある。しかし、エサや排泄物によっていけすの水質が悪化しやすく、安定した養殖には水質管理が不可欠だ。

 そこで、日本特殊陶業は排気ガスセンサーなどで培った技術を基に、水中のアンモニアを検知するセンサーを開発し、水質の自動管理システムを構築する計画だ。また、自動給餌システムや汚れた水のろ過システムを組み合わせて、エビの陸上養殖の自動化を目指している。

 今後、10月以降に実証実験を進め、本格的な事業展開を目指す考えだ。

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