広島と愛媛の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?
離島架橋は地域振興のカギとなるが、広島県の芸予諸島の未完成架橋計画が示すように、単なるインフラ整備では効果が限られる。都市の活性化と広域的な交通ネットワーク構築が求められる。
離島振興の盲点、衰退する拠点都市

筆者は広島県の地域開発を取材してきた。その経験から導き出されるのが、離島振興の成否は接続先となる中心都市、つまり
「呉市自体の構造的変化」
に左右されるのではないか――という仮説だ。架橋による利便性の向上は、生活圏の拡大を意味する。しかし、その生活圏の中心となるべき都市の求心力が弱まれば、地域の発展も停滞する。
かつて呉市は、周辺地域から買い物や娯楽を求める人々が集まる都市だった。主観も交じるが、賑わいの中心である中通りは、休日ともなれば多くの人で溢れていた。しかし現在、その面影はない。鄙びた風景や軍港の歴史に由来する名店こそ残るものの、かつての活気は失われ、人通りはまばらだ。
さらに、呉市の住民ですら賑わいを求めて東広島市の西条方面へ流れている。特に2015(平成27)年に東広島・呉自動車道(一般国道375号 東広島・呉道路)が開通して以降、その傾向は顕著になった。
「娯楽や買い物は西条で」
という考え方が、呉市内でも一般的になりつつある。この現象は、架橋による離島振興の本質的な課題を浮き彫りにする。
本来、架橋によって本土と結ばれた島々は、接続先の都市と一体となった経済圏を形成し、発展するはずだった。しかし、その接続先である呉市自体が求心力を失っていれば、架橋の効果は限定的なものにとどまる。もちろん、これを証明するにはさらなる調査が必要だが、最寄りの拠点都市が衰退している状況では、離島振興が成功しないのは必然といえる。
このように、本土側の都市が求心力を失ったままでは、巨額の事業費を投じて8号橋を建設する意義を見いだすのは難しい。