イオンはなぜIC近くに「次世代スーパー」を建設するのか? 郊外型ショッピングモールの「未来」を占う
少子化が進む商業市場

1980年代以降、モータリゼーションの進展を背景に郊外に大型ショッピングモールが次々と開発されてきた。
広域からの集客が可能なIC周辺が開発に適した立地として選ばれ、地方自治体も積極的に誘致を進めた。特に1990年代の最盛期には、全国各地で出店ラッシュが起き、現在の郊外商業施設の状況が形成されている。
近年は商業施設内に空きテナントが目立つようになっており、一部施設ではフロア全体がほぼ空白となり、シャッターストリート化する例も見られる。さらに、コロナ禍ではナショナルチェーンの縮小やブランド撤退が相次ぎ、空きテナント化が加速。都市部でも同様に、テナントが抜けた大型商業施設が廃墟化するケースが増えている。
郊外にある大規模な商業施設を持つ大型ショッピングモールは、厳しい状況に直面している。少子化が予想を超えるスピードで進行しており、地域マーケットの縮小が避けられない。加えて、若者の車離れや高齢化による免許返納などで、車での来店が減少傾向にあるため、大型ショッピングモールにとっては集客の難しさが増している。また、高齢者の増加により、広大な店舗は使いづらくなる一方だ。
一方で、オンラインショッピングはコロナ禍で急速に普及しており、EC市場の急拡大に伴い、物流拠点のニーズも高まっている。かつては大型ショッピングモールの開発が進められていたIC周辺も、物流拠点開発の好立地として注目されている。現在では、四角い箱状の物流倉庫がIC周辺や幹線道路沿いに増加し、物流施設が商業施設と並行して開発される事例も多い。
地方自治体がIC周辺の土地活用プロジェクトで、大型ショッピングモールの誘致を試みたものの、頓挫したケースも見受けられる。結果的に物流拠点としての開発に切り替わり、地域に賑わいを創出する商業施設や観光施設などを複合開発する事例も増えている。都市開発におけるプレイヤーの変化が顕著に現れているといえるだろう。