イオンはなぜIC近くに「次世代スーパー」を建設するのか? 郊外型ショッピングモールの「未来」を占う
郊外大型ショッピングモールの開発が停滞するなか、次世代スーパーが新たな商業・物流施設として注目されている。イオンの「次世代型複合商業施設」は、先進的なフルフィルメントセンターを核に、最新技術を駆使した物流拠点と商業空間を融合。高齢化社会における「買い物弱者」の増加にも対応し、オンラインとオフラインの融合が進む新時代の生活基盤を提供する。
大型商業施設が変貌する未来像

かつて郊外の高速道路のインターチェンジ(IC)周辺や幹線道路沿いで盛んに進出していた大型ショッピングモールの開発も、最近では停滞気味だ。しかし、イオンモール(千葉県千葉市)は2025年以降、「(仮称)八王子インターチェンジ北」を順次オープンする計画だ。
この施設は約10万2000平方メートルの大型施設で、すでに2024年春に着工しており、2025年の春に第一期がオープンし、2026年の春に第二期のオープンが予定されている。第二期には次世代スーパーが導入され、イオンとして初の「次世代型複合商業施設」となる見通しだ。
次世代スーパーとは何か。イオンは顧客フルフィルメントセンター(CFC)に実店舗を併設したものとしている。フルフィルメントセンター(FC)とは梱包作業倉庫のことを指すが、現在のEC環境ではロボットやAIなど最先端のシステム、物流設備が導入され、
「自動化が進んだ先進的な物流拠点」
を指す。最近では無人の倉庫内を多くの小型ロボットがAIによって自律的に荷物を運ぶ様子が報じられ、近未来的な光景として話題となった。
郊外の大型ショッピングモールではかつてのように大規模な商業床を維持することが難しくなっている。将来的には多くの巨大廃墟が生まれるのではないかという懸念もある。その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小売各社もECに力を入れるようになっている。大型ショッピングモールは、
「買い物もできるECショールーム兼物流倉庫」
として機能するのではないかと、業界内で冗談交じりに語られることもあるが、まさにそのような施設が開発されることになるのかもしれない。