宇都宮LRT、2024年も大ヒットのワケ! 累計乗客数ついに「600万人」突破、成功要因を今さらながら徹底解剖する

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2023年8月に開業した栃木県の宇都宮ライトレールは、わずか1年で黒字化を達成した。初年度の純損益は約5700万円の黒字となり、地方鉄道の常識を覆す結果となった。この路線は新型車両と全ドア乗降システムを採用し、定時運行率の高さや利便性が評価されている。利用者数は開業当初の予想を大きく上回り、沿線地域では地価上昇や開発の活性化といった経済効果も生まれている。地域活性化のモデルケースとして注目されている。

工業団地の渋滞解消

明治通りを自動車に囲まれて走る都電荒川線。路面電車といえば「道路上を走る区間(併用軌道)で渋滞に巻き込まれる乗り物」と思うかも知れないが、宇都宮LRTは全線に亘って軌道敷内通行禁止だ。筆者撮影(画像:若杉優貴)
明治通りを自動車に囲まれて走る都電荒川線。路面電車といえば「道路上を走る区間(併用軌道)で渋滞に巻き込まれる乗り物」と思うかも知れないが、宇都宮LRTは全線に亘って軌道敷内通行禁止だ。筆者撮影(画像:若杉優貴)

 都電荒川線が走る明治通り(王子駅付近)では、軌道内を自動車が走るのが日常となっている。

 しかし、宇都宮LRTでは、自動車は右折時を除き、基本的に軌道敷内の通行が禁止されている。乗降のしやすさに加えて、電車優先の交通ルールが徹底されており、これが定時運行を支える要因となっている。そのため、従来のバスよりも所要時間が大幅に短縮された。

 また、宇都宮LRTは、休日日中でも1時間に5本、平日ラッシュ時には路面電車では珍しい快速を含めて1時間に9本(2024年秋時点)という高頻度で運行されており、

「待たずに乗れる電車」

となっている。これまで、LRT沿線の宇都宮市清原地区や芳賀町の工業団地にある複数の事業所では、直通送迎バスの運行や時差通勤の推奨が行われていた。しかし、両工業団地の総従業員数は約3万6000人に達しており、渋滞の抑制には限界があった。

 宇都宮LRTはバスよりも速く、時間も正確なため、開通にともない、多くの工場では宇都宮駅方面から運行されていた直通送迎バスを縮小し、LRTの利用を推奨する動きが広がっている。

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