「階段では手すりを持って」担当者が社員を監視、ある自動車メーカーが“過保護すぎる規則”を設けるワケ

キーワード :
, , , ,
「階段では必ず手すりを持って」。とある自動車メーカーで言われたひと言に、思わず驚いた筆者。この一件から見えてくる“現場の葛藤”をリポートする。

背景にある「労災かくし」

製造業の現場のイメージ(画像:pixabay)
製造業の現場のイメージ(画像:pixabay)

 なぜ、そのような小さなことや、明らかな不注意からくるものまで、きちんと報告しなければいけないのだろうか。

 その理由は「労災かくし」にある。

 労災かくしとは、本来は労災として対応されなければならない事例が、報告や保障されないものだ。労災かくしが発生すると、今後の労災発生を防止するための対策が取られなかったり、本来ならば被災者が受け取れるはずだった保障や賠償が受けられなかったりする。

 もしも労災が「小さなケガだから」や「不注意が原因だから」で報告の必要がなくなれば、本来ならば報告が必要な事例についても、無理やり「うっかりからくる、ちょっとしたケガ」にさせられるケースが必ず出てくるだろう。

 だから労災はどのようなものでも、報告が義務づけられているのである。