自動運転車じゃ笑えない「天一問題」 紛らわしい標識は世界中に システムどう認識?
クルマの先進安全装備を支えるシステムが、某ラーメン店の看板を一時停止の標識と間違って認識した問題は、世界中で起こり得るのか。標識は国により、似たようなデザインで意味が異なるケースも。システムはそれをどう認識するのか。
ところ変われば標識も「意味が変わる」 似たデザインでも
クルマの自律走行を実現するため、走行空間の自動認識に関わるソフトウェアの課題の一つは、世界中の多様な道路標識を正しく認識することだ。日本では「天一問題」が話題になったのを、覚えている方もいるのではないだろうか。日本の某ラーメンチェーン店のロゴマークを、システムが進入禁止の標識と誤認識した問題だ。笑い話に思えるかもしれないが、自動車事故につながる恐れもあるため、看過できない。
では、もし国が違ったらどうだろう。道路標識はそれぞれの国、それぞれの地域で異なり、似たようなデザインでも意味が異なるものがある。つまり、店舗のロゴマークではななく標識そのものも誤認識する可能性が考えられる。本記事では、システムが標識をどう認識するのかを紹介したい。
まず、道路標識が国や地域で全くバラバラかというと、そうではない。世界の道路標識は大きく分けると「欧州方式」と「米国方式」の2つに分類される。
欧州は陸続きに複数の言語地域があるため、欧州方式ではシンボライズした標識が採用され、視認性に優れていると言われる。他方、米国方式は原則として言語による表示が採用されており、機能性・確実性の点で優れていると言われる。それぞれ発展の背景と、優位性を持っているわけだ。
各々の発展がありながら、欧州諸国では道路標識の統一の機運が高まった。その流れが世界に広まった結果、1968年には、国際連合道路交通会議にて「道路標識及び信号に関する条約」として一定の規則が定められるようになった。
日本では1963年、欧州方式に則って道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(標識令)が改正され、以降、国際連合道路標識を取り入れる形でアップデートされていった。
それでは実際に、世界の標識をいくつか見てみよう。