トイレ・自販機・コンビニに見る突き抜けた安心感【連載】平和ボケ観光論(3)
日本の平和ボケが観光資源として注目を集めている。増加するインバウンド客は、安心感や便利さを求めて日本を訪れており、特にトイレの充実、自販機の普及、そしてひとり客に優しい外食文化が魅力とされている。しかし、この平和ボケには意外な落とし穴もある。
激動の時代に残る平和な空気

観光は訪れる人に安らぎと新しい体験をもたらす特別な活動だ。2021年東京五輪では選手村のもてなしに日本独自のホスピタリティが際立ち、「平和ボケ」が安心感と癒やしを与える力を示した。本連載「平和ボケ観光論」では、日本の安全で穏やかな環境が観光資源として持つ価値を体験を通して探る。
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平和を偽ることはできない。特定の場所や時間に限れば、意図的に演出することは可能かもしれないが、いつかその偽物がバレてしまうだろう。
その意味では、平和はアピールするものではなく、
「平和について考える必要がない状態」
が本当の平和であり、いわゆる「平和ボケ」なのかもしれない。
世界は激動の時代を迎えているが、幸いにも日本にはまだ平和ボケの名残があり、それこそが観光資源として活用できるといえるだろう。
年々増加しているインバウンド、特にリピーターの多くは、そんな平和な雰囲気に引き寄せられて日本を訪れているのだと思われる。