日本のトイレ・自販機・コンビニが示す抜群の安心感【連載】平和ボケ観光論(3)

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日本の平和ボケが観光資源として注目を集めている。増加するインバウンド客は、安心感や便利さを求めて日本を訪れており、特にトイレの充実、自販機の普及、そしてひとり客に優しい外食文化が魅力とされている。しかし、この平和ボケには意外な落とし穴もある。

トイレ充実で安心感倍増

インバウンドから見た日本の光景イメージ(画像:Pexels)
インバウンドから見た日本の光景イメージ(画像:Pexels)

 日本での旅行に漂う安心感は、身の回りの準備や不測の事態への警戒がほとんど必要ないことに表れている。東京には公衆トイレや商業施設、公園のトイレなど、誰でも使える場所が多く、ほとんどが清潔に保たれている。日本人にとっては当たり前の光景だが、多くの訪日外国人にとっては強い印象を与えている。移動中に「次のトイレはどこか」「安全で清潔か」といった不安を抱かずに済むことは、歩行の心理的なハードルを下げ、街の奥深くまで足を運ぶ動機にもなる。

 温水洗浄便座の普及率も高く、自動開閉するハイテクトイレに感動する声も多い。設備の充実は旅の快適さにとどまらず、日本という国への信頼感にも直結する。

 ヴィム・ヴェンダース監督の映画『パーフェクトデイズ』(2023年)では、役所広司がトイレ清掃作業員を演じる日常が描かれた。この作品は2024年のアカデミー賞で最優秀国際長編映画賞の候補となり、国際的に日本の公共トイレへの関心を高める契機となった。

 背景には渋谷区内の公共トイレ刷新プロジェクト「THE TOKYO TOILET」がある。安藤忠雄や坂茂といった著名建築家が設計した17のトイレを巡るツアーも行われ、好評を得ている。これらは日常的に使用されている施設であり、ツアー中にトイレを心配する必要はない。

 渋谷区には公共トイレが80か所あり、駅や商業施設の設備を加えると密度は非常に高い。この整備が、日本での移動を心から楽しみ、安心して探索を続ける基盤となっている。

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