「寝台列車」本格復活のカギは出張? 「ホテル高騰時代」に光る新たな魅力、コスト削減と快適性で注目か【連載】夜行列車現実論(1)
寝台列車が復活すれば、ビジネスマンにとって出張費用の節約と快適な移動手段を両立できる可能性がある。東京~大阪間の新幹線やホテル代に比べ、サンライズの寝台車は1泊分の宿泊費を削減できるだけでなく、移動中に休息も取れる。しかし、運行に必要なコストや管理面での課題も山積み。寝台列車の未来はどこへ向かうのか?
運行管理の壁

夜行列車は、かつて多くの人に利用されていた移動手段だ。寝台車を使った快適な移動や、昼間の時間を有効に使える利点があるものの、新幹線や高速バス、格安航空の普及でその存在感が薄れてきた。
本連載「夜行列車現実論」では、感傷やノスタルジーを排して、経済的な合理性や社会的課題をもとに夜行列車の可能性を考える。収益性や効率化を復活のカギとして探り、未来のモビリティの選択肢として夜行列車がどう再び輝けるかを考えていく。
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寝台列車といえば、現在、東京と出雲市を結ぶ「サンライズ出雲」や、東京と高松(時期によっては琴平まで延長運転もある)を結ぶ「サンライズ瀬戸」くらいしか定期運行していない。
これらの列車は、
・JR東日本
・JR東海
・JR西日本
・JR四国
の4社をまたいで運行されている。かつてのブルートレイン時代も、長距離運行が基本で、複数のJR会社をまたぐものが多かった。これにより、運行管理が難しくなり、ブルートレインの多くは廃止された。
しかし、社会情勢は日々変化しており、
「寝台列車がなくなってしまったのは惜しい」
「寝台列車が復活してほしい」
といった声も増えてきている。ということで、本稿では、寝台列車の復活について取り上げる。感情的な視点は排除し、経済的合理性に基づいた視点で論じたい。