コロナ禍でもフル稼働! 引く手あまたの「小型機」が今後も好調予想なワケ
大中型機・ジェット機にはない「メリット」
新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の航空業界に多大な影響を与えた。
特に、国境をまたぐ国際線や、国内線のレジャー路線の需要が激減。空港や海外の砂漠などに駐機されたままの大量の航空機は、大量輸送時代の終焉(しゅうえん)をも物語っているようだった。ANAやJALといった日系航空会社をはじめ、コロナ禍を機に大型機を退役させた航空会社も多い。
一方、いつ何時も活躍するのが座席が少ない小型機だ。
特に、フランスとイタリアの合弁会社「ATR(Avions de Transport Regional)」が製造する小型ターボプロップ機(プロペラ機)は、コロナ禍であっても製造や受注などが順調に続いている。日本では現在、3社14機のATRシリーズが運用され、今後さらに増える予定だ。
その昔、飛行機と言えば、大型機がカッコいいとのイメージがあった。しかし実は、小型しかもプロペラ機には、大中型機にない多くの「メリット」がある。ということで、今回はコロナ禍でも活躍する小型機、その魅力や今後についてを紹介する。
日本で3社14機が導入済み
世界中でプロペラ機を製造するメーカーはいくつかある。
そのひとつが、前述のATRだ。拠点は、フランス・トゥールーズ郊外。世界二大航空機メーカーのひとつであるエアバスとイタリアのレオナルド S.p.Aの共同事業体で、1981年創業。以後これまで世界100か国以上、200以上の航空会社に対し、航空機を製造、納入してきた。
小型プロペラ機の特徴にはまず、ジェット機と比べて
・消費燃料が少ない
・CO2排出量が少ない
点が挙げられる。車と同様で燃費がいいとコストパフォーマンスがよく、地球環境にもやさしい。
また、1000m規模の短い滑走路でも離着陸が可能な点もポイントだ。空港には、滑走路の延伸が難しい地形のところや、険しい山岳地帯に位置することもある。つまり
・小回りが利く飛行機
との表現がわかりやすいだろう。
ATRが製造する飛行機には「ATR42-600」「ATR72-600」など、現在4機ある。日本で最も多いATR42-600の場合、座席数は48席だ。