日本の航空モノづくり危機 旅客需要の回復後も停滞必至 失うわけにいかないその意義

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航空需要の蒸発により、エアラインだけでなく、日本の航空産業が厳しい状況に置かれている。新型コロナの影響を脱し、航空需要の回復が見込まれてもなお、好転は遅れると見られる。背景には「売れる飛行機」の変化がある。

「宇宙」「防衛」は堅調も、大きく落ち込んだ「航空」産業

日本の航空産業の関与が大きいボーイング787(画像:ボーイング)。
日本の航空産業の関与が大きいボーイング787(画像:ボーイング)。

 日本の航空宇宙産業が厳しい状況に置かれている。一般社団法人日本航空宇宙工業会(SJAC)が2021年5月28日(金)に行った会長会見で、2020年度の日本における航空宇宙産業の総生産額が、6年ぶりに2兆円を下回ったことが明らかにされた。

 ただ、宇宙産業と防衛航空部門については、前年度並みの生産額を確保している。宇宙産業の総生産額は2004年度以降、毎年度3000億円程度で推移しており、2020年度も前年度(3285億円)から2.1%減の3216億円と見込まれている。防衛分野の総生産額は、2011年度に4194億円まで減少したものの、その後は回復傾向にあり、2020年度も2019年度(5096億円)に比べれば若干下落したものの、5057億円に達している。

 にもかかわらず、航空宇宙産業全体の総生産額が2兆円の大台を割り込んだ理由は、民間航空機部門の生産額の大幅な下落だ。COVID-19(2019年新型コロナウイルス)の全世界的な感染拡大に伴う、航空旅客需要の「蒸発」によるところが大きい。

 IATA(国際航空運送協会)が2021年2月に発表したところによれば、2020年の世界の航空需要は2019年に比べて65.9%減少しており、航空史上最大の需要急落であるとしている。

 IATAは、2024年にはCOVID-19の感染拡大以前の需要を回復できるとの見通しを示しているものの、変異種の発生と感染再拡大により先行きは不透明な状況だ。SJACの村山 滋会長(川崎重工業特別顧問)も会見で、動向を注視していく必要があると述べている。