文学散歩の魅力とは何か? 今でも読み継がれる岡山出身「内田百閒」の足跡を辿る【連載】移動と文化の交差点(9)

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内田百閒は、戦後の文学散歩の先駆者であり、『阿房列車』で無目的な鉄道旅を楽しんだ作家だ。彼は岡山を愛し、故郷の風景や記憶を大切にしていた。その足跡をたどることで、文学の魅力を再発見できる。文学散歩はコンテンツツーリズムの原点ともいえ、多くの人々が文学に興味を持つきっかけになることが期待される。

70万人都市が誘う文学散歩

内田百閒生誕の地碑(画像:増淵敏之)
内田百閒生誕の地碑(画像:増淵敏之)

 岡山は戦後の復興に成功し、四国と結ぶ重要な拠点になっている。現在の人口は70万人を超える政令市だ。百閒が過ごしていた戦前の岡山とは、かなりの違いがあるだろう。

 文学散歩では、小説の舞台を巡るだけでなく、作家の足跡をたどることもできる。どちらの形でも、作家の思いや感動を共有することに意味がある。

 最近は活字離れが叫ばれることが多いが、文学散歩は

「コンテンツツーリズムの原点」

ともいえる。もっと多くの人々が文学に興味を持ってくれることを切に願っている。

 百閒は不思議な作家だ。自由奔放に生きながら、今でも多くの作家や文芸評論家が彼の作品に触れざるを得ない存在だ。筆者も今後は機会を見つけて、『阿房列車』の旅をしてみたい。

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