「EVシフト」は工作機械メーカーも変革する! 金属加工は減少し、新工法の波が到来だ

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自動車業界は「EVシフト」により、部品点数が3万点から2万点に減少。工作機械の需要も変化し、コストは約半減の7000円に。日本の工作機械メーカーは新技術を開発し、中国での需要増加を背景に2022年には受注が過去2番目の水準に達したが、2023年は減少傾向。ハイブリッド車でも需要が見込まれ、成長が期待される。

EV化加速の影響力

EVのイメージ(画像:写真AC)
EVのイメージ(画像:写真AC)

 自動車業界はこの数年、「EVシフト」と呼ばれる大きな流れに飲み込まれて、内燃機関のエンジン車から電気自動車(EV)への移行が進んでいる。EVシフトによって車の部品構成が大きく変化するため、自動車メーカーやサプライヤーはその対応に追われているが、工作機械の分野でも変革が進んでいる。

 工作機械は部品製造に欠かせない設備で、ひとつの部品を製作するためには多くの工作機械が必要だ。自動車の部品には金属製品が多く使われており、所定の形状や寸法に加工するためには旋盤やフライス盤、ボール盤などの複数の加工機械が必要だ。また、複数の加工を1台で行えるマシニングセンターという自動機械も使われる。

 工作機械は工作機械メーカーによって製造され、自動車メーカーやサプライヤーに納入される。国内メーカーの工作機械は、高い精度と耐久性を持ち、世界中に輸出されている。これまで、世界中の自動車メーカーはガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した車が基本であり、それに合わせた工作機械も世界中で使われてきた。

工作機械コスト半減の未来

EV化の進展による自動車産業の方向性(画像:日本政策投資銀行)
EV化の進展による自動車産業の方向性(画像:日本政策投資銀行)

 EVシフトにより、車全体の部品点数は3万点から2万点に減少するといわれている。特に、動力源がエンジンからEVモーターに置き換わることで、多くのエンジン関連部品が不要になる。

 エンジン部品は細かい機械金属部品が多数必要だが、EVのモーターやインバーターなどは電気・電子部品の塊であり、比較的シンプルな構成になる。そのため、EV化にともない自動車全体での金属加工の必要性が減少し、それに必要な工作機械も多くが不要になると予想されている。

 日本政策投資銀行が2018年に発表した資料によれば、従来の自動車産業における設備投資の内訳では、金属工作機械が

「9%」

を占めていたが、産業用電気機械などではわずか1%にまで減少している。EVシフトによっても、同様に大きな変動があると考えられている。

 また、自動車生産1台あたりの工作機械のコストは約1万5000円と試算されているが、EV化によって約半額の7000円まで落ち込むと見込まれており、自動車向けの工作機械全体の需要は一時的に低下する見込みだ。

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