「蒲蒲線」いまだ課題山積! そもそも経済効果「10年1兆円」は本当か? 地元関係者も「蒲田~京急蒲田接続で終わりかも」のホンネ
老朽化する街の危機とリーダー不在の葛藤

国交省が予算を計上したことで前進が期待されているが、現状は依然として不透明だ。それでも、大田区が蒲蒲線の実現を進めている理由は何だろうか。前述の区議会関係者はこう語る。
「今後、再開発が進まず、周辺地域に比べて魅力のない街のまま埋もれていくことへの危機感があります」
現在、蒲田周辺では品川、大井町、川崎など、再開発による街づくりが進行している。一方、蒲田は一部地域で再開発準備組合ができるにとどまっている。しかし、蒲田での再開発は避けては通れない課題だ。繁華街の多くの建物が老朽化しているからだ。JRの駅ビルは東口が1962(昭和37)年、西口が1970年に完成しており、東急の駅ビル(東急プラザ蒲田)も1968年に完成している。これらはリニューアルで対応しているが、将来的には建て替えを検討する必要があるだろう。
さらに、問題なのは蒲田駅周辺のサンライズ商店街やサンロード商店街だ。これらの商店街の建物は昭和40~50年代に建てられたもので、古い建築基準に基づいている。南海トラフ地震などの大規模災害が起きれば、倒壊する恐れがある。
大田区は2022年に「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」を改訂し、2024年4月には「大田区鉄道沿線まちづくり構想」をまとめるなど、再開発に向けた取り組みを進めている。しかし、これらは方向性を示すにとどまり、具体的な再開発計画はまだ存在しない。区役所や住民の間では期待が高まっているものの、現時点では漠然としたビジョンの域を出ていないのが実情だ。
前述の区議会関係者は、地域にリーダーシップを取る人間が不在であることも問題だと指摘する。
「松原忠義前区長は地元の池上出身で、蒲蒲線の実現を区政の最重要課題のひとつとして推進してきました。しかし、2023年に就任した鈴木晶雅区長は、蒲蒲線計画を継続しつつも、松原前区長ほどの熱意はありません。区役所全体としても、蒲蒲線を前提とした具体的な再開発計画には至っておらず、やや様子見の姿勢が見受けられます。そのため、グランドデザインや構想も、区役所から発注されたデベロッパーが見栄えよくまとめて、“仕事をしている感”を出すだけのものになっている面があります」