「蒲蒲線」いまだ課題山積! そもそも経済効果「10年1兆円」は本当か? 地元関係者も「蒲田~京急蒲田接続で終わりかも」のホンネ

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蒲蒲線の実現が期待されているなか、国土交通省は3000万円の補助金を計上した。経済波及効果は初年度で約2900億円、10年間の累計で約5700億円と試算されているが、具体性に欠けるとの指摘もある。交通インフラの整備が進むことで地域経済の活性化が期待されているが、多くの課題も残っている。

怪しい経済効果

新空港線(蒲蒲線)について(画像:大田区)
新空港線(蒲蒲線)について(画像:大田区)

 この試算は、2024年4月16日に行われた大田区議会交通政策調査特別委員会でも議題に上がった。その際の議事録の一部を引用する。

◆津田委員:運賃に関しては、ありがとうございます。運賃といっても当然通勤、通勤というか定期券であったり、一時利用というか旅行で来られる方もいらっしゃると思うのですけれど、そうなるとこの飲食費とかというのは、どういう基準の算定になるのでしょうか。毎日空港線を利用された方が、空港線を利用されている方も旅行で来られて、ご飯を食べられる方も含めて、例えば大田区では73.3億円、年間で直接効果があるという数字なのか、それともインバウンドなどで来られた方の飲食費なのかどうかというのは、お答えいただけますでしょうか。
◎山田鉄道・都市づくり課長:今回新空港線の利用につきましては、5.7万人増加するというところでございます。そのうち大田区に降りるお客様が約4万2000人で、東京都、大田区を除くのが約7000人、埼玉県が約1000人、神奈川県が約7000人となってございます。その人数を基に大田区で降りる方が使う飲食代として73.3億円、同じように買物が46.5億円という試算の仕方をしているというところでございます。
◆津田委員:そうすると今、例えば新空港線ができていない状況の中で、同じ方が例えば、蒲田駅から京急蒲田駅まで歩いている方も使っているお金というのも、新空港線を使った、その方が使えばその金額になるということという理解でよろしかったですか。
◎山田鉄道・都市づくり課長:あくまでも新空港線を新たに利用される方が5.7万人増えるというところでございます。そこの考え方でございます。
◆津田委員:分かりました。

 最後に津田委員は「分かりました」と質問を終えたが、読者のみなさんは理解できただろうか。津田委員は、飲食費などの経済効果がどのような利用者を想定して算出されているのかを尋ねた。しかし、山田課長の回答には具体的な算出方法や根拠が示されていなかった。

 さらに、現在蒲田駅から京急蒲田駅まで歩いている人々の消費が、単に蒲蒲線利用に置き換わっただけでは新たな経済効果は生まれない。この点について、山田課長は「新たに利用される方」という表現にとどまり、具体的にどのように新規需要を見込んでいるのかを明らかにしなかった。

 これは単に話をはぐらかしているのではなく、明確な試算方法が示されていないことの証左だ。せっかく国土交通省が予算を投じる段階に入ったにもかかわらず、このような楽観的な経済効果予測しかないのは、事業の実現を妨げる要因となりかねない。実際、大田区自体も、まだ実現に向けた熱意が低いのではないかと感じてしまう。

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