「蒲蒲線」いまだ課題山積! そもそも経済効果「10年1兆円」は本当か? 地元関係者も「蒲田~京急蒲田接続で終わりかも」のホンネ
膨大な試算、根拠は不明

東急が参画する第三セクターが設立されたことで、一期整備は多少前進したように見えるが、二期に関してはほとんど進展がない。二期では、東急多摩川線と蒲蒲線、京急空港線を接続することになるが、軌間が異なる東急と京急の接続に関する技術的な問題など、解決すべき課題が山積している。
そのため、国土交通省が調査費を概算要求に盛り込んだとはいえ、その実現性は依然として不透明な状況だ。
具体性が欠けている一例として、大田区が試算した経済波及効果がある。2024年4月に大田区が公表した関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算では、次の経済波及効果が示されている。
●大田区内
・開業初年度:約2900億円
・10年間累計:約5700億円
●広域エリア(都内全域、埼玉・神奈川の一部を含む)
・開業初年度:約4600億円
・10年間累計:約1兆200億円
宮本氏は、阪神タイガースの優勝などさまざまな事象の経済効果を算出してきたことで知られている。しかし、氏の試算には楽観的な側面があることも否定できない。例えば、「第6回大阪マラソンの経済波及効果」(『現代社会と会計』第11号)では、大阪マラソンの経済波及効果の推計を行っており、次のような推計が示されている。
「2010年の6月1日の数値によると、東京都と大阪府の人口はそれぞれ約1304万人、約884万人であるので、人口比(1:0.68)から考えると、来年の大阪マラソンの一般観戦者は約113万人と推定される。(中略)大阪マラソンもかなりの沿道の観客数が期待できる。(中略)かなりの沿道の観客数が期待できる。(中略)このうち、ジョギング・マラソン人口の観戦者7万6500人とランナーの親族・友人などの関係者6万人を除くと、一般の観戦者は99万3500人であると推定される」
観客数を都市の特性や交通の利便性、イベントの規模などの多様な要因を考慮せず、人口比だけで推計している理由は不明だ。また、「ランナーの親族・友人などの関係者6万人」という数字がどこから出てきたのかも明示されていない。
大田区のウェブサイトでは蒲蒲線の試算方法についての説明はないが、同様の視点で試算が行われていると考えられる。
その結果、現状の蒲蒲線の経済効果については、膨大な数字が並ぶものの、誰もその根拠を理解できていないように思える。