震災から13年 「陸前高田市」の観光復活は可能か? カギとなるBRTアクセスの壁と新海誠作品【連載】移動と文化の交差点(8)
陸前高田市の復興と観光振興が進行中。2023年度の観光客数は120万人を超え、震災前の水準に戻りつつある。新海誠の映画『すずめの戸締まり』が地域の魅力を再発見させ、希望を与える一方、公共交通の充実が観光促進の鍵となる。
観光の障壁は交通網

思い返せば、今回の訪問はおそらく3年ぶりだ。
前回は気仙沼市からBRTを利用した。しかし、東京からの移動時間を考えると、かなり時間がかかる。おそらく新幹線で一ノ関駅(一関市)まで行き、そこでレンタカーに乗り換えるのが最も早く到着できる方法だろう。
かさ上げされたエリアは陸前高田市の中心商業地区だが、空き地が目立つ。住宅地は高台の方に集まり、商業施設や残りの住宅はそのエリアにはまばらに存在している。この状況は3年前から改善されていない。また、同時に人口減少の傾向が続いており、経済的衰退が進んでいることも予想される。
陸前高田市は以前から交通の便がよい場所ではなかった。公共交通が現状のままでは、コンテンツツーリズムにとっても障壁になると筆者(コンテンツツーリズム学会会長)は感じている。
コンテンツツーリズムとは、特定の文化的、歴史的、または芸術的なコンテンツに基づいた観光の形態である。この観光スタイルでは、映画やテレビ番組、音楽、文学、ゲーム、アートなど、さまざまなメディアやコンテンツが旅行の目的や魅力となる。近年では
「観光の新たな形」
として注目されており、地域資源を活用して魅力的な観光地を創出することに寄与している。