震災から13年 「陸前高田市」の観光復活は可能か? カギとなるBRTアクセスの壁と新海誠作品【連載】移動と文化の交差点(8)

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陸前高田市の復興と観光振興が進行中。2023年度の観光客数は120万人を超え、震災前の水準に戻りつつある。新海誠の映画『すずめの戸締まり』が地域の魅力を再発見させ、希望を与える一方、公共交通の充実が観光促進の鍵となる。

津波の爪痕残る街並み

アバッセたかた。筆者撮影(画像:増淵敏之)
アバッセたかた。筆者撮影(画像:増淵敏之)

 陸前高田市のBRTターミナルを降りると、かさ上げされたエリアに「アバッセたかた」という大型複合商業施設があり、衣料品チェーンのしまむらや地元スーパーのマイヤが中心となっている。市立図書館もその施設内にあった。

 近くには津波伝承館や博物館が整備されており、商業施設の周りにはさまざまな店舗が点在している。ただし、津波伝承館から海にかけては更地が広がり、廃墟となったビルもまだ残っていた。

震災後の街並みと友人

津波伝承館から見える廃墟。筆者撮影(画像:増淵敏之)
津波伝承館から見える廃墟。筆者撮影(画像:増淵敏之)

 実は、筆者は大学時代の友人が陸前高田市に住んでおり、大学時代から何度も訪れていた。震災の半年前にも訪れたことがあり、震災から1か月後に食料を積んで再び訪れたことを覚えている。

 東京から車で向かったが、県最南端に位置する一関市からの国道343号線の気仙川では、竹駒の手前で津波が押し寄せた跡が見えた。がれきが川岸を埋め尽くしており、国道の路肩もところどころで崩れていた。

 当時、友人に街中を案内してもらったが、JR陸前高田駅はすでになく、そこから海に広がっていた商業地区はがれきの山だった。その光景にはただぼうぜんとするしかなかった。復興にはどれほどの時間がかかるのか、全く予測できなかった。

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