富山ライトレールは本当に成功したのか? 再開発は富山駅前「一人勝ち」の現実、中心商店街は地価苦戦 公共交通改革の光と影を考える
富山駅前の若者集中

さらに年代別の分析から、次のような結果が示された。
●JR富山駅周辺地区
すべての調査日において、20~30代の割合が最も多く、30代以下が過半数を占めている。
例:2023年5月21日(日曜日)の調査
・20代未満:14.2%
・20~30代:38.9%
・40~50代:29.3%
・60代以上:17.6%
●中心商店街周辺地区
40~50代と60代以上の割合が高い。下記の例だと56.2%になり40代以上が過半数を占めている。
例:2023年5月21日(日曜日)の調査
・20代未満:11.1%
・20~30代:32.7%
・40~50代:32.9%
・60代以上:23.3%
この結果から、富山駅周辺は若者の街となっている一方で、総曲輪は年齢層の高い街であることがわかる。
また前述の通行量調査とは別に、富山市は2021年に大学生を対象にアンケート調査を実施しており、「中心市街地でよく訪れる場所・施設(複数回答可)」の結果は次のとおりである。
・富山駅周辺:88.2%
・マリエとやま 54.1%
・中心商店街(総曲輪・中央通り・西町):22.4%
・総曲輪フェリオ(富山大和):20.0%
・グランドブラザ:4.7%
・J-MAXシアターとやま:22.4%
・ほとり座:3.5%
・地場もん屋:1.2%
・SOGAWA BASE:7.1%
・TOYAMAキラリ(ガラス美術館、図書館):10.6%
複数回答が可能であるにもかかわらず、富山駅前周辺の訪問率は他のエリアを大幅に上回っており、総曲輪との顕著な差が見られる。若者のニーズに応えることが必ずしもよいとは限らないが、総曲輪は現代のトレンドに合致していないことが明らかである。
これまで富山市は、グランドプラザや総曲輪フェリオ、TOYAMAキラリなどの集客施設に多くの予算を投入してきた。特にガラス美術館と図書館が入居するTOYAMAキラリは市民のための文化施設だけでなく、観光施設としても価値が高い。しかし、それらの施設が経済活動の活性化に直結しているわけではないのだ。