富山ライトレールは本当に成功したのか? 再開発は富山駅前「一人勝ち」の現実、中心商店街は地価苦戦 公共交通改革の光と影を考える

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富山市のLRT導入で公共交通の成功例が明らかになった。駅前再開発が進む富山駅周辺は若者に人気が集まり、商業地の地価は最大5.4%上昇。一方、伝統の中心商店街「総曲輪」は苦境に直面している。都市再生の難しさと新たな住宅地としての注目も浮き彫りになった。

LRT効果で公共交通移行進展

富山駅周辺の風景(画像:写真AC)
富山駅周辺の風景(画像:写真AC)

 発展を遂げた富山市のLRT南北接続は、どのような影響を与えているのだろうか。2023年9月に発表された富山市の調査結果『開業3年後の総括』によると、次のような効果が見られる。

・路面電車利用者の満足度は「混雑具合」を除いては高い傾向にあり、特に「運行本数」「運賃」に対する満足度が高い
・路面電車利用者の17%が「南北接続により交通手段に変化があった」と回答しており、そのうち50%は自家用車からの転換が見られる
・路面電車利用者の28%が「南北接続前と比べて路面電車の利用回数が増加した」と回答しており、利用日数は平均して週1.5日増加している
・南北直通運行の開始により、路面電車利用者の64%が「便利になった」と回答している

 これらの結果から、LRTが利便性を向上させ、公共交通への移行を促進していることがわかる。さらに、

・路面電車沿線住民の17%が平成28年以降の転居者であり、そのうち 53%は転居先を選ぶにあたって「路面電車沿線であること」を重視し、21%は「路面電車が南北接続すること」を重視している

と、公共交通を重視する市民が増えていることも明らかになっている。

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