富山ライトレールは本当に成功したのか? 再開発は富山駅前「一人勝ち」の現実、中心商店街は地価苦戦 公共交通改革の光と影を考える
富山市のLRT導入で公共交通の成功例が明らかになった。駅前再開発が進む富山駅周辺は若者に人気が集まり、商業地の地価は最大5.4%上昇。一方、伝統の中心商店街「総曲輪」は苦境に直面している。都市再生の難しさと新たな住宅地としての注目も浮き彫りになった。
富山駅周辺の歩行者23.1%増

市内の経済活動に対するLRTの効果について見てみよう。調査によると、次のような結果が示されている。
・路面電車利用者の2割程度が「南北接続により中心市街地へ買い物に訪れる機会が増加した」と回答している
・富山港線沿線住民の27%は「南北接続によりまちなかへの来訪頻度が増えた」と回答している
自動車保有率が高く、郊外化が進んでいた富山市だが、LRTや公共交通の再編によって大きな変化が見られる。
ここで注目すべきは、「中心市街地へ買い物に訪れる機会が増加」「まちなかへの来訪頻度が増えた」の「中心市街地」「まちなか」が具体的にどこを指すのかという点だ。
これを明らかにするのが、富山市の「令和5年度歩行者通行量調査」だ。この調査は毎年、富山駅周辺と中心商店街で実施されており、2023年には5回行われた。データからは次のような結果が得られている。
●JR富山駅周辺地区
前年同時期と比較して、平日で最大23.1%、 休日で最大14.9%増加している
●中心商店街周辺地区
前年同時期と比較して、平日で最大5.4% 、休日で最大0.1%増加している
これにより、JR富山駅周辺の増加に対して、中心商店街周辺では増加が極めて少ないことがわかる。したがって、LRTによって増加した「中心市街地」「まちなか」は、富山駅前を指していると推測できる。