富山ライトレールは本当に成功したのか? 再開発は富山駅前「一人勝ち」の現実、中心商店街は地価苦戦 公共交通改革の光と影を考える

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富山市のLRT導入で公共交通の成功例が明らかになった。駅前再開発が進む富山駅周辺は若者に人気が集まり、商業地の地価は最大5.4%上昇。一方、伝統の中心商店街「総曲輪」は苦境に直面している。都市再生の難しさと新たな住宅地としての注目も浮き彫りになった。

人口転入超過を実現した富山市

富山ライトレール(画像:写真AC)
富山ライトレール(画像:写真AC)

 公共交通を活用した都市再生が各地で進んでいるなか、最初の成功例となったのが富山市だ。

 富山市は2006(平成18)年、国内初の次世代型路面電車(LRT)を導入した。老朽化したJR西日本の富山港線をLRT化し、JR富山駅北側と市の北部を結ぶ新たな路線を得た。さらに、2020年には富山市内軌道線(富山地方鉄道富山軌道線)との南北接続も実現した。

 富山市のコンパクトシティ政策の中心には、

「お団子と串」

という概念がある。これは、一定のサービスレベルを持つ公共交通(串)で徒歩圏を結ぶという考え方だ。この政策は成果を上げており、2018年10月の総務省地方制度調査会で示された資料によると、2008年以降、富山市では人口の転入超過が維持され、人口減少率も鈍化している。

 少子高齢化が進むなかで都市機能の維持が難しくなることが懸念されるが、富山市の試みは全国の地方都市から注目されている。

 しかし、この取り組みには新たな課題も浮上している。それは、経済活動が富山駅前エリアに集中し、同エリアの

「ひとり勝ち」

が進行している点だ。

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