水素航空機への期待はなぜ高いのか?英国リーズ大学が明らかにした「不都合な真実」とは

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運輸部門におけるCO2排出量の削減は困難な課題である。英国での炭素排出量では55%を占めている。一方、2028年にはスウェーデンで商業用水素燃料航空機が就航する予定だ。

運輸部門の炭素排出37%

航空機のイメージ(画像:写真AC)
航空機のイメージ(画像:写真AC)

 炭素(CO2)排出量の劇的な削減は、引き続き大きな社会的課題だが、部門別の最大の課題は、運輸部門における削減である。

 2022年、エネルギー研究所と国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、運輸部門は

・世界のエネルギー使用量:30%
・世界の炭素排出量:37%

を占めていることが報告されている。電気自動車の普及など、排出量削減のための努力はなされているが、運輸部門は

「社会活動の根幹」

に関わるため、短期間で変化させることは難しく、時間の経過とともに、運輸部門が世界の排出量に占める割合はますます大きくなる傾向にある。

 運輸部門における炭素排出の主な原因は、もちろん自動車であるが、新たな調査によって、意外な“盲点”が明らかになった。そのひとつが、国際線などの

「長距離旅客輸送」

である。

1600km未満フライト、鉄道化で5.6%削減

海外旅行のイメージ(画像:写真AC)
海外旅行のイメージ(画像:写真AC)

 英リーズ大学の研究チームが2024年7月に『Nature Energy』に発表した研究によると、英国からの国際旅行は全旅行(観光、レジャー、社交目的での旅行)の0.4%にすぎないが、全旅行の炭素排出量の

「55%」

を占めていることがわかった。

 英国内での80km(50マイル)以上の長距離移動は、英国の全旅行の61.3%、炭素排出量の69.3%を占め、炭素排出の重要な原因となっている。そのなかに含まれる航空機での長距離移動による炭素排出量はまさに“盲点”だった。国の統計には国際線の炭素排出量が含まれていないものもあり、海外旅行など長距離便の炭素排出量が見落とされやすいという背景もありそうだ。

 研究チームは「排出量削減感度(emission reduction sensitivity)」と呼ばれる新しい指標を用いて、旅行の炭素排出量を最小化するために、さまざまな種類の旅行の炭素排出量を計算した。

 計算の結果、1600km(1000マイル)未満のフライトをすべて鉄道に切り替えた場合、炭素排出量は5.6%削減されることがわかった。

 英国では、国内の長距離・短距離自動車旅行の数は過去25年間でわずかに減少しているが、国際航空旅行は観光、レジャー、友人や家族を訪ねる旅行の増加により大幅に増加している。

 長距離旅行、特に航空機による旅行は、都市部の移動に比べて炭素排出量が著しく大きく、それに見合った政策アプローチが必要であると、この研究は結論付けている。

 脱炭素化の努力は技術(電化、エネルギー効率の改善、燃料転換)に焦点が当てられることが多いが、技術だけでは十分ではなく、

・旅客輸送の抜本的な需要削減
・行動変容

も必要であると指摘している。

 英国は島国であるため、欧州内の短距離移動でも航空機を利用せざるを得ないのだろうが、今後は“不要不急”な空の旅を見直す必要が出てくるかもしれない。

 旅行そのものよりも、航空会社のマイルをためることを目標にしている

「マイル修行僧」

も多いだろうが、航空機の膨大な炭素排出量が“バレた”後では、彼らは苦境に立たされるかもしれない。

 果たして、空の旅はかつてのように特権的なぜいたく品になってしまうのだろうか。

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