連結営業収益1.7兆円超! JR東海とはどのような会社なのか【短期連載】リニアはさておき(1)

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1987年の設立以来、保有機構譲渡、300系車両の投入、品川駅の開業など、幾度もの転機を経てきたJR東海。新幹線収入が単体88%を占めるなか、労使の協力体制も進化している。

国鉄からJR東海へ

東海道新幹線(画像:写真AC)
東海道新幹線(画像:写真AC)

 リニア中央新幹線の静岡工区をめぐる政治的な論争や、「国商」「最後のフィクサー」と呼ばれた名誉会長・葛西敬之氏(2022年没)などの影響もあり、JR東海は多くの人にとって複雑なイメージを抱かせる存在かもしれない。しかし、一般の人たちが本当に知りたいのは、創業以来の長い歴史に刻まれた、同社の鉄道事業の成功と未来への壮大なビジョンではないか。本連載「リニアはさておき」では、創業から現在に至るまでの歴史を掘り下げ、鉄道事業の神髄を探っていく。

※ ※ ※

 JR東海は、正式には東海旅客鉄道といい、1987(昭和62)年4月1日に日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化により誕生した。JR東海が引き継いだのは、東海道新幹線のほか、在来線では

・名古屋鉄道管理局
・静岡鉄道管理局

を中心に、

・長野鉄道管理局
・金沢鉄道管理局
・天王寺鉄道管理局

の一部である。東京と大阪に本社を置いた国鉄東西二分割案ではなく、名古屋に本社のあるJR東海が生まれたことは、中部エリアの経済界にとって大きな意味を持つこととなった。

 JR東海発足後における経営の転換点となるような大きな出来事といえば、1991(平成3)年10月新幹線保有機構から新幹線設備の譲り受け、

・1992年3月:300系投入とのぞみ誕生
・1997年10月:株式上場
・1999年12月:JRセントラルタワーズ完成
・2003年10月:品川駅開業・全列車270km/h化
・2011年5月:国土交通大臣が中央新幹線(東京都・大阪市間)の営業主体および建設主体に指名
・2017年2月:JRゲートタワー完成

だろう。このように、JR東海は東海道新幹線を中心に歴史を刻んできた。

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