連結営業収益1.7兆円超! JR東海とはどのような会社なのか【短期連載】リニアはさておき(1)

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1987年の設立以来、保有機構譲渡、300系車両の投入、品川駅の開業など、幾度もの転機を経てきたJR東海。新幹線収入が単体88%を占めるなか、労使の協力体制も進化している。

紆余曲折を経て安定した労使関係

本州JR3社のひとり当たり売上高(画像:3社のデータを基にMerkmal編集部で作成)
本州JR3社のひとり当たり売上高(画像:3社のデータを基にMerkmal編集部で作成)

 最後に、JR東海の労使関係について少しだけ触れておきたいと思う。まず、本州JR3社の従業員ひとり当たりの売上高を見てみよう。

●JR東日本
・営業収益・単体:1兆9872億円
・従業員数:3万9843人
・ひとり当たり売上高:4988万円

●JR東海
・営業収益・単体:1兆4173億円
・従業員数:1万8514人
・ひとり当たり売上高:7655万円

●JR西日本
・営業収益・単体:9442億円
・従業員数:2万1314人
・ひとり当たり売上高:4430万円

JR東海の従業員ひとり当たり売上高が圧倒的に高く、

・東海道新幹線の売り上げ
・労働生産性の高さ

を素直に反映しているといえる。従業員の平均給与を比較すると、営業収益や労働生産性に見合った結果となっている。

・JR東日本:725万1825円(平均年齢38.6歳、平均勤続年数16.0年)
・JR東海:760万2898円(平均年齢36.6歳、平均勤続年数15.8年)
・JR西日本:665万0824円(平均年齢37.7歳、平均勤続年数14.3年)

従業員の平均給与だけで単純に比較できるわけではないが、本州JR3社のなかではJR東海がもっとも恵まれているといえる。

 とはいえ、JR発足からしばらくは国鉄時代から続く労働問題が、全くないというわけではなかった。ストライキ対策として、

「大卒・大学院卒の社員」

に、新幹線の運転士免許を取得させた時代もあったぐらいだ。JR東海における労働問題の転換点は、1993(平成5)年3月のJR東海ユニオンの発足だろう。JR東海ユニオンは、JR総連から離脱した

・JR東海労組
・東海鉄産労

が合流した組織だ。また、JR東海ユニオンは、同じくJR総連とたもとをわかっていたJR西日本やJR四国、JR九州の労働組合が結成したJR連合の一員でもある。JR東海ユニオンの誕生により、JR東海は労使が協調して

「鉄道の安定輸送」

が図れることとなり、東海道新幹線の競争力強化につながった。JR東海の歴史や総論はここまでとし、次回は鉄道事業を中心に話を進めたい。

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