混迷する「北陸新幹線ルート」 あなたは小浜派?米原派? 鉄道ジャーナリストの私は、どう見ても「小浜ルート」一択です
国交省のずさんすぎる反論

米原ルート推しの盛り上がりに呼応して国交省は、
・JRの運行管理システムや脱線防止ガードの構造が違う
・東海道新幹線乗り入れの余裕がなく乗継が固定化する
と、まるで
「JRの言い分をそのままコピーアンドペーストした」
かのようなリポートで納得させようとしているが、ちょっと仕事がお粗末ではないかと思う。
運行管理システムの違いについては、北海道・東北・上越・北陸新幹線系統は、路線分岐を想定した運行管理システムであるのに対し、東海道・山陽・九州新幹線系統は単一路線を想定した運行管理システムである。この違いが乗り入れを不可能にする理由というが、国交省は新大阪の地下駅から山陽新幹線の高架までアプローチ線を作って乗り入れも念頭に置いている。
それに今後の新鳥栖(とす)駅(佐賀県)での九州新幹線と西九州新幹線との分岐や、さらに将来的には岡山で四国新幹線や伯備新幹線との分岐も発生することを考えれば、運行管理システムの問題はどの道解決しなければならないはずだ。国交省の言い分は問題を
「先送り」
にしているだけである。米原ルートで直通するとなれば、車両は東海道新幹線側のスペックに合わせてN700系列になるだろう。国交省の資料を見る限り、N700系列の車軸取り付け部の両端に逸脱防止ガイドを付けるだけで、脱線防止ガードの違いは対応できそうだ。
こんなことで米原ルートを諦めさせようというのは浅はかではないか。筆者は小浜ルート推進派だが、お粗末な検討で米原ルートを否定する国交省の姿勢を見ると、米原派を擁護したくなってくる。
乗継が固定化される件についても検討不足だ。たしかに現行の東海道新幹線の設備のままでは乗り入れは厳しいだろう。乗り入れる場合は遅れる場合も想定して予備のスジも用意しておくことも必要だ。こうなると新大阪付近を走行する時刻表に載っていない回送列車をいつまでたっても出せないということにもなりかねない。これが乗り入れが厳しい理由だ。