混迷する「北陸新幹線ルート」 あなたは小浜派?米原派? 鉄道ジャーナリストの私は、どう見ても「小浜ルート」一択です
北陸新幹線のルート選定をめぐる議論は、地域的な利害や意見が複雑に絡み合っている。ここでは、小浜・京都ルートと米原ルートの論点と背景を整理し、それぞれの支持者と主張を見ていく。
滋賀県の真意
米原ルートなら滋賀県の賛成が必要だが、滋賀県はどう思っているのか。滋賀県も
「小浜ルート1択」
との見解を示している。その動機には並行在来線問題がありそうだ。
北陸放送の報道によると、滋賀県の三日月知事はJR湖西線の並行在来線化を認めていない。県内を線路が通らないため、いくらJRの負担軽減のためとはいえ、滋賀県が税金を使って湖西線の運営していくのは納得がいかないとの考えがあるようだ。知事は
「並行在来線。これまで新幹線が通らない県、または大都市近郊区間の在来線が並行在来線に指定された例はありませんので、このことを早期に国に確認してもらいたい」
と湖西線が並行在来線となりJRから経営分離されることがないよう、くぎを刺している。
米原ルートになれば北陸本線を押し付けられるが、小浜ルートならさまざまな論法で並行在来線問題から逃げられると考え、どんなルートになっても並行在来線は受け付けないという姿勢のようだ。小浜ルート賛成派のなかで滋賀県だけは、小浜ルートの魅力よりも
「並行在来線を押し付けられたくない」
から小浜ルート推しなだけのような印象さえ受ける。現在の湖西線が並行在来線になるのか、JR西日本・長谷川一明社長は
「並行在来線の議論についてはどれが該当するかは明確ではない。着工ルートが決まらない状況なので、その次の話は全くの白紙状態」
としている。