宇都宮LRT「西口延伸」は本当に成功するのか? 開業約1年で振り返るべき、「富山ライトレール」があまり活性化につながらなかった3つの理由とは
富山の教訓を生かす宇都宮LRT

この点で、宇都宮市の取り組みは先見性がある。
資料によると、宇都宮市はLRTを交通手段としてだけでなく、都市構造を変革する触媒としても位置づけている。特筆すべきは、LRTを交通結節点として活用することで、バスネットワークの再編を計画していることだ。これは、公共交通ネットワーク全体の最適化を目指した取り組みである。
さらに重要なことは、宇都宮市が総合的な都市計画アプローチを採用していることである。「都心部まちづくりプラン」は、交通機能だけでなく、
・街路空間の使い方
・街路空間のデザイン
・都市機能の配置
など、多角的な視点からまちの将来像を描いている。このプランは固定的なものではなく、社会環境の変化に応じて柔軟に更新していく姿勢を示している。
都市計画は、生き物のように変化し続ける都市に対応するため、常にアップデートされる必要がある。そこで筆者は、富山市が現在抱えている問題点を踏まえ、宇都宮市がLRTを延伸する際には、
●中心市街地の魅力向上
富山市では、伝統的な中心市街地の魅力不足が目立つ。宇都宮市では、LRT沿線の中心市街地に特色ある商業・文化施設を戦略的に配置し、人を引きつける魅力的な空間を創出する必要がある。
●郊外商業施設との差別化
富山市は、郊外の大型商業施設との競合という課題に直面した。総曲輪の課題は、わざわざ訪れる理由と考えるまでには至っていない。宇都宮市は、中心市街地ならではの魅力(歴史・文化・にぎわい)を強化し、郊外型施設との差別化を明確にする必要がある。
●居住機能と商業機能のバランス
富山市ではマンション建設が進む一方で、商業機能の低下が続いている。宇都宮市は“職住近接”の観点から、マンションの建設戸数を調整するなどして、LRT沿線の居住機能と商業機能のバランスのとれた都市構造を目指すべきである。
といったような課題に着目する必要があると考えている。