宇都宮LRT「西口延伸」は本当に成功するのか? 開業約1年で振り返るべき、「富山ライトレール」があまり活性化につながらなかった3つの理由とは

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「芳賀・宇都宮LRT」は宇都宮市の発展を加速させ、開業から半年で37万人が利用、地価も上昇している。今後の成功のカギは、中心市街地の魅力を向上させ、郊外の商業施設との差別化を図ることだろう。

富山LRTの地価下落問題

富山ライトレール(画像:写真AC)
富山ライトレール(画像:写真AC)

 2006(平成18)年4月、JR西日本の富山港線を引き継いだ富山ライトレールが富山市内で運行を開始し、2020年3月には富山駅を挟んだ南北の接続が完成、富山市内軌道線(富山地方鉄道富山軌道線)との直通運転も開始された。

 開業以来、LRTは市内交通における“路面電車の価値”を見直す契機となったが、時間の経過とともに新たな課題も浮かび上がってきた。2024年3月に最新版に更新された「第4期富山市中心市街地活性化基本計画」に掲載されたデータをもとに、その課題を考えてみたい。

 最も深刻な問題は地価の下落で、2010年に41.7万円/平方メートルだった中心市街地(総曲輪3丁目)の公示地価は、2020年には40万円まで下落しており、10年間で

「約4%」

の下落は、LRTが必ずしも活性化につながっていないことを示唆している。

 さらに、商業が一極集中し、他の地域が衰退しているという問題もまだ改善されていない。中心市街地の小売店舗数は、2007年の1276店から2016年には595店と、わずか9年間で

「53%」

も減少している。富山市全体では、小売店舗数は

・2007年:4578店
・2012年:3084店
・2016年:3106店

と下げ止まっている。にもかかわらず、中心市街地は減少を続けている。

 同じ期間に、中心市街地の小売り売り場面積も10万9978平方メートルから6万6419平方メートルへと

「約4割」

減少している。これは、LRTを中心とした交通体系が整備された後も、大型商業施設が集中し、周辺地域の小規模店舗が淘汰(とうた)された結果と考えられる。

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