チーム数増加の葛藤と可能性【連載】開かれたF1社会とその敵(2)
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新規参入とチーム売却が繁栄のカギを握るが、オーナーの経営戦略には懸念材料も多い。ステファノ・ドメニカリのリーダーシップは今後の展望に貢献するだろうが、課題は安定した経営とF1の競争力を維持することだろう。
米国におけるエクスパンションの成功

スポーツ大国・米国には四大スポーツがある。
・MLB(野球)
・NBA(バスケットボール)
・NFL(アメリカンフットボール)
・NHL(アイスホッケー)
である。その成長の要因のひとつが
「エクスパンション(チーム数の拡大)」
である。今後、MLBが現在の30球団から32球団に増えることはほぼ確実視されている。
エクスパンションが行われる際には、エクスパンション・ドラフトが行われる。保護措置があるとはいえ、既存チームは戦力ダウンの可能性を受け入れてきた。長期的な視野に立てば、業界全体が繁栄すれば、いずれ自分たちのチームも繁栄することを知っているからだ。
日本のプロ野球とMLBの間にはこれだけの財政的格差があるが、この事実はパイを大きくすることの重要性を教えてくれる。おそらくF1のオーナーたちは、新チームの誕生が長期的にF1を繁栄させることを頭ではわかっているのだろう。しかし、少し前まではチーム運営が不安定で、目先の利益を追いがちになるのは“悲しい性”ともいえる。
「利他の心など必要ない」
と考えるのが自然だろう。一方、参入を希望するチームが既存チームの買収であれば、異論はなさそうだ。分配金の希薄化もないだろうし、前述したようにチームを高値で売却することもできる。
全てのプロスポーツはファンに支えられている。ファンのいないプロスポーツはプロではない。甲子園でもプレーできず、近くの河川敷の野球場でプレーする草野球と同義である。ファンは基本的にチームが多い方がうれしいし、ドライバーも働く場所が増えるのでありがたい。一方、経営陣は現状維持を望んでいる。
この“乖離(かいり)”が大きくなったとき、F1は新たな問題を抱えることになりそうだ。