チーム数増加の葛藤と可能性【連載】開かれたF1社会とその敵(2)
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5倍以上になったウィリアムズの価値

いずれにせよ、チームオーナーにとって財務基盤をいかに強化するかが最大の課題だった。
このような背景から、コンコルド協定の改定交渉のたびに各チームは分配金の増額を要求し、F1も安定性を重視してチームの意向を受け入れた。徐々にチームの分配金依存度は高まり、不安定なスポンサーマネーへの依存度は低下していった。2021年からは運営を容易にし、チーム間の競争力の差を縮めるために予算制限も設けられた。
ウィリアムズは2020年に1億5200万ユーロ(当時のレートで約190億円)で売却されたが、2023年7月の米経済誌『フォーブス』の報道によると、2023年のウィリアムズの推定収益は1億6000万ドル(約223億円)、企業価値は7億2000万ドル(約1000億円)となっており、これは非常に高い数字である。
それを考えると、オーナーとしては売却を考える必要はないが、ウィリアムズを買収するとしたら1000億円以上を提示しなければならない。2020年からのわずか4年間で、その価値は
「5.2倍」
になっており、ホンダ時代とは雲泥の差だ。財務上の大きな課題もほとんどない。
2017年以降は10チームで安定しているが、11チーム目になると自動的に分配金が希薄になる。保証金を高く設定することで希薄化を補う仕組みはあるが、チームオーナーとしてはある意味、一時的なボーナスにすぎない。長期的な視野に立てば、今後より希薄な賞金が分配されることを懸念するのは当然だ。そう、“現状維持”を望んでいるのである。
また、2021年からはフェラーリのチーム代表だったステファノ・ドメニカリがフォーミュラワン・グループのトップに就任している。F1の運営側ではあるが、リーマンショック前後の厳しいチーム運営を乗り越えてフェラーリを動かしてきた人物だ。チーム数の拡大を望む国際自動車連盟(FIA)との関係では、ドメニカリはチーム側に立っている。