業界に漂う閉鎖的構造の背景【連載】開かれたF1社会とその敵(1)

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F1は参戦規定が厳格化。その歴史的背景から技術力向上や経済効果のためにチーム数の制限が強まっている。

F1拡大と課題

2024年7月7日、イギリス中部のシルバーストン・サーキットで開催されたF1イギリスGPで優勝し、喜ぶメルセデスのルイス・ハミルトン。(画像:AFP=時事)
2024年7月7日、イギリス中部のシルバーストン・サーキットで開催されたF1イギリスGPで優勝し、喜ぶメルセデスのルイス・ハミルトン。(画像:AFP=時事)

 本連載「開かれたF1社会とその敵」では、F1の歴史と閉鎖的な構造に焦点を当て、変化の可能性を探る。F1の成長とともに形成された独自の「F1ムラ」における利益と利他の対立、新規チームの参入の難しさ、そしてオープンな社会への道筋を検証する。F1の未来と進化に向けた具体的な可能性を示し、閉鎖的な構造からの脱却戦略を提案する。

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 F1世界選手権は、国際自動車連盟(FIA)が主催する世界最高峰の自動車レースである。個人タイトルのドライバーズ選手権は1950年から、製造者同士が競い合うコンストラクターズ選手権は1958年から始まった。

 プロスポーツには適正なチーム数が存在するが、基本的な流れとしては参加チーム数を増やす、つまり拡大傾向にある。しかし、F1では米国のアンドレッティ・フォーミュラ・レーシングが11チーム目として参戦しようとしているが、F1を管理・統括するフォーミュラワン・マネジメント(FOM)は2026年まで認めないとしている。

 なぜ世界の潮流に逆行するのか。歴史と構造から考えてみよう。

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