世界放映権は3000億円レベル 日本だけが取り残されそうな「F1ビジネス」の知られざる可能性
コロナ禍後、2023年上期は円安で好決算を出す日本企業が続出した。筆者は、グローバルな視点から “F1ビジネス”の可能性を見直す時期に来ていると提言したい。いったいなぜか。
F1と日本企業の距離
2023年、今シーズンのF1は、ホンダがパワーユニットを供給するレッドブルがドライバーで3年連続、チームで2年連続の年間チャンピオンに輝いた。また2022年に3年ぶりに再開された鈴鹿サーキットでの「F1日本グランプリ」も、本年は過去最高水準の観客動員数を記録した。
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さらに2024年には、小池百合子東京都知事の肝いりで、国際自動車連盟(FIA)の「フォーミュラE」が3月末に東京で開催される。その翌週にはF1日本グランプリが再び鈴鹿で開催される。このような話題に触れると、日本と“F1ビジネス”の関係は極めて強いように思えるが、筆者(J.ハイド、マーケティングプランナー)は、薄氷の上にあるような気がしてならない。
全米の放映権料は2023年には100億円を超えていると報じられている。また次のグローバル放映権に至っては、
今や20億ドル、つまり日本円で3000億円レベルが提示されているといわれ、その独占契約にはAppleも触手を伸ばしている。
日本での放送はフジテレビの衛星放送とDAZNになるが、2023年のレースは例年になくギリギリまで契約締結が延期されたようだ。その結果、2025年までの放映権が契約されたものの、フジテレビなどは開催前月までF1というタイトルなしの特別番組を放送しなければならなかった。
契約締結が遅れた理由が金銭的なものであったことはいうまでもない。長引く円安も遅れにつながったことは想像に難くない。しかし何よりも、
「スポンサーとなる日本企業」
が非常に少ないという事実が根底にある。