「犬型ロボット」は人間の敵か味方か? 物流革命から「殺人ライフル搭載」まで、七変化するその性能とは

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物流業界の人手不足を解消するため、ロボット導入が進む。特にボストン・ダイナミクスの犬型ロボット「スポット」は、倉庫内作業や異常検知、警備など多用途で活躍。一方、軍事利用も懸念される。

犬型ロボット「スポット」

商用物流ロボット「ストレッチ」(画像:ボストン・ダイナミクス)
商用物流ロボット「ストレッチ」(画像:ボストン・ダイナミクス)

 四足歩行ロボットのスポットは、その容姿や動きから犬型ロボットとも呼ばれている。日本で犬型ロボットといえば、やはりソニーのアイボだろう。

 スポットとアイボを比較すると、自律型エンターテインメントロボットとして開発されたアイボのほうがやはり犬っぽいように思える。ちなみに、「robot dog」と検索すると、スポットとアイボいずれも上位に出てくる。

 スポットは、長さ1100mm、幅500mm、高さ(座位)191mm、(歩行時)610mmと実際の犬よりかなり大きい。バッテリー込みの重量は32.7kg、歩行速度は最大1.6m/s、最大30度の傾斜、段差300mmまでなら移動可能だ。

 遠隔操作と自律歩行の両方が可能であり、自律歩行では自らが環境を把握し、階段の上り下り、障害物の回避のほか、スポットアームを装着すると、扉の開け閉め、スイッチの入り切り、ちょっとした荷物の移動といったミッションを遂行できる。

 ボストン・ダイナミクスをはじめさまざまな企業が二足歩行ロボットを開発しており、動画サイトの映像を見るかぎりでは、どのロボットもなかなかの動きだ。しかしながら、スポットのような四足歩行ロボットのほうが、重心が低いため安定性が高くかつ構造が比較的単純という点で、より将来性が高いと見られている。

 また、四足歩行は、車輪よりも速度は出ないものの、段差といった凹凸の影響を受けにくいメリットがある。このほか、人間と比較して安定的に仕事をこなせる上、

・無断欠勤
・ストライキ

といった労務面の課題を回避できるため、経営者にとっては使いやすい労働力といえよう。自律型の犬型ロボットが進化して業務の幅が広がると、ますます人手不足が解消できるだけでなく、人を雇用する必要すらなくなるかもしれない。

 ボストン・ダイナミクスは、米グーグル、ソフトバンクグループ、韓国・現代自動車に買収された経緯がある。技術水準は高いものの、7万4500ドル(2020年発売当初)と高価なうえ、稼働時間など解消すべき課題が多く商用化が難しいと見られていた。とはいえ、バッテリー技術のブレイクスルーや犬型ロボットの汎用(はんよう)化によって普及する可能性は残されている。

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