「中長距離フェリー」とは何か? 物流支える知られざる“裏方”、日本各地で活躍するその最新動向とは【短期連載】海洋国家にっぽんのフェリー進化論(2)

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日本にとってフェリーは欠かすことのできない交通手段である。今回は、中・長距離フェリーに焦点を当て、航路や物流におけるフェリーの役割を紹介する。

国内フェリーが結ぶ地域間の経済・文化的つながり

今から17年前。2007年時点の中長距離フェリー航路一覧(画像:国土交通省)
今から17年前。2007年時点の中長距離フェリー航路一覧(画像:国土交通省)

 フェリーは、航路により収入の内訳が大きく異なる。国土交通省の資料では、距離により運賃収入の構成が以下のように異なっている。

・関西~九州 長距離:トラック等約71%、乗用車・同乗者約23%、一般旅客約5%、二輪・その他約1%
・本州~四国 中距離:トラック等約67%、乗用車・同乗者約19%、一般旅客約13%、二輪・その他約1%
・本州~四国 近距離:トラック等約35%、乗用車・同乗者約40%、一般旅客約23%、二輪・その他約2%

距離が長くなるほど

「トラック輸送の需要」

が高くなる。距離が短くなるほど、橋や輸送コストの影響も手伝い、トラックの割合が低くなり、乗用車や一般旅客のニーズが高くなるといえよう。

 トラック輸送の需要という面では、中距離フェリーの存在が大きくなっている。北海道と青森を結ぶ津軽海峡フェリーは、2023年10月から青森~函館間で運航していたフェリーを、あえて青森~室蘭に延長した。所要時間が、3時間40分から約7時間に伸びるものの、トラックドライバーの休憩時間確保につながるため評価を得ている。

 もちろん、何を運ぶかという観点でもフェリーと地域の結びつきは強い。例えば、宮崎を発着するフェリーは、宮崎で生産された野菜や畜産品を関西や関東といった消費地に運ぶ役割を担っている。関西と四国を結ぶジャンボフェリーは、本四架橋では運べない大型貨物を搬送しており、一次産品だけでなく工業製品の輸送においても、フェリーは地域の経済活動に欠かせない。

 中長距離フェリーの果たす役割は、日本の物流だけでなく地域の経済を支える点で、ますます役割が大きくなっていく可能性を秘めている。今回は、中長距離フェリーの物流面を中心に話を進めたが、次回は旅行や観光面にスポットライトを当ててみようと思う。

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